東京ディズニーランドに来ました。
今回は和食のお店「れすとらん北齋」で食事をします。
目次
ワールドバザール:れすとらん北齋
古き良きアメリカで愛される日本の味
19世紀終わり頃から、西洋では芸術や建築などで好んで和のテイストが使われるようになりました。この街でも伝統的な日本食のおいしさが知れわたり、今では多くの人に愛されています。世界に誇る浮世絵師、葛飾北齋の名前を冠したレストランで、あなたも日本の味に舌鼓を打ってみてはいかがですか?
「ランドで唯一の和食レストラン」と、今でも言っていいのかな?
プラズマレイズダイナーがどんぶり屋さんでも、片田舎の方でうどんが振舞われたりしていたとしても、本格的な和食レストランはここだけだからそういうことでいいのかな。そういうことです。
オープンはランド開園から1年と少し経った1984年7月。
ロケーション
ワールドバザールのメインストリート、城側の出口に近い位置。
マップだと少し番号表記がずれているのは、お店が2階にあるからかな。
入り口はメインストリートに面した1階にあります。
入ると2階に上がる階段とエレベーターがあるので、昇ります。
システムと店内
2階に上がると富嶽三十六景がお出迎え。
さすがれすとらん北齋。
ご案内を待つ間は江戸の地図を眺める。
店内はパークにいることを忘れてしまうくらい、ディズニー感がありません。
窓もあまりなく、あってもレースのカーテンがかかっていて外がよく見えるわけではありません。
運よく窓際の席になればお城も見えるし、時間が合えばパレードが通っていくのも見ることができます。
店内BGMは「お正月になると日本中至る所で聞かれるお琴のあれ」みたいなやつです。
とにかく日本的。
バックストーリー
北齋がある「ワールドバザール」は19世紀末から20世紀初頭のアメリカをイメージした街並。
その街に日本食ブームがきて、本格的な日本食レストランを作るぞ!ってどっかのアメリカ人が作ったのがこのレストランだそうです。
ディズニーシーにあるレストラン櫻はアメリカ人がアメリカでアメリカ人向けにやってるジャパニーズレストラン、って感じだけど(櫻のオーナーは日系移民ですが)、北齋は正しく日本的な和食屋さんという感じ。
逆にパークにいることを忘れるくらい過剰に日本的であるという点が、外国人目線だとも言えるのかもしれない。
店タイプはテーブルサービス
キャストが席まで案内してくれて、水とおしぼりが出て、席に注文を取りに来る、ファミレススタイルのお店。それをパークでは「テーブルサービス」と呼ぶ。
テーブルサービスと一言で言っても、ファミレスレベルのお店もあれば、コース料理しか出さない高級感のある店舗もある。
北齋はちょっとお高めのファミレスみたいな感じ。
プライオリティ・シーティング制度
一部テーブルサービスのお店は予約が出来る。
北齋もその一部に含まれてます。
分かりやすく「予約」という言葉を今後も使用しますが、ディズニーでは「予約」ではなく「プライオリティシーティング(PS)」という用語を使っています。
日本語にしたら「優先座席案内」
日本語にしてもよく分からない。
いわゆる「レストラン予約」というのは、予約した方のためにテーブルを空けておき、約束した時間にかならず席につける、というもの。
PSでは予約したあなたのためのテーブルは確保されていない。
来店時間だけが決まっていて、
「席が空き次第、優先的に座席に案内しますよ」
というもの。
だから少し待つ可能性もある。
アトラクションの「ファストパス」のようなものだと思ってもいい。
予約しなくても利用は可能だけど、必ず利用するという意思が固まっているのなら、1ヶ月前から前日までにネット予約をしておくのが吉。
当日枠も一応はあり、ネットか店頭で予約することができます。
メニューとサービス
シーの方にある「レストラン櫻」はどこか西洋も入り混じったような和食のお店ですが、北齋はメニューも正しく日本。
変にアレンジされた和食はありません。
天ぷら定食とか、ロースカツ定食とか、とにかく安心感のあるメニューが並ぶ。
お値段は2000円前後。
甘味もあります。
あたたかいお茶が出るのも冬場は嬉しいポイント。
さて、今回注文したメニューです。
こちらは天麩羅膳。2180円。
こちらは天麩羅とうどん膳の温うどん。2180円。
前回食べたときはごはんとうどん両方ついたよなーと思ってドライブ漁ってたら、2018年の天麩羅膳を発見!
2018年の天麩羅膳。
左下はごはんです。
このときは天麩羅膳とうどん膳に分かれてなくて、天麩羅膳にミニうどんがついていました。(冷たいうどんを選ぶと味噌汁がつく)
ごはんもおかわり自由だったけど、現在は廃止。
天麩羅の種類や付け合わせも違う。うどんも違いますね。
価格も2000を切るくらいでした。
天麩羅は熱々でボリューム満点だが…
さて、2020年の天ぷらです。
海老が2本、なんかの青魚とお野菜。
野菜は以前はいんげんにしいたけにかぼちゃみたいなオーソドックスなものでしたが、今回はパプリカとかズッキーニとかちょっと変わったものになってました。
海老がかなり大きくてボリューミーです。
お味の方は、わりと熱々でサクサク。
熱々サクサクの天ぷらが出てくるのはかなり好印象なんですが、衣がかなり厚い。
ボリュームと衣で結構最後の方は箸が進まなくなってしまった。
あと青魚らしきものが生臭いのも気になった。
まずいとまでは言わないんだけど、わりとなんでもペロリと食べる私が箸が進まなくなるのはまあまあ珍しい。
前回は天ぷら定食をおいしかったと思ったはずで、だからこそ再びこの店で天婦羅を頼んだわけだけど、また天婦羅を食べに来ようとは今は思わない。
しかし味が変わってしまったかどうかまでは判断できません。
熟練の職人がこだわりぬいてやっているお店ではないから、たまたま揚げ油がよくなかったとか、揚げる人がよくなかったとか、そういう運だった可能性も否定できない。
前食べたときが良すぎたのかもしれない。
うどんは立ち食いそばで「うどんで」と言った時のやつです。
正直これはあまりおいしくはない。
前は七味がついてたけど今回はなし。言えばくれるのかな?
付け合せは茶碗蒸しと里芋の煮たやつみたいなものにミッキーの麩みたいなものが乗ったもの。
香の物だけだった以前に比べると豪華になっている。
しかし、この「みたいなもの小鉢」も不評らしいが、もっと不評なのが茶碗蒸しである。
北齋の茶碗蒸し問題
パークでは常にメニューや価格が改定されているけど、ここ数年、ファンの間で「改悪」と言われるような改定が後を絶たない。
2019年のディズニーフード3大事件が多分、
ジャングルうどん
スパゲッティピザ
茶碗蒸し
だと思う。
北齋にきてこの茶碗蒸しに触れないわけにはいかないでしょう。
北齋の茶碗蒸しはかつてはわりとちゃんとしていて、人気もあったらしい。
(以前は海鮮丼的なものにセットでついていたのと、単品でも売られていた)
それが現在、プラスチックのカップに入った出来合いのものになってしまったものだから、ファンの間で大騒ぎになった。
しかも蓋を持ち上げたらカップごと茶碗蒸しがくっついてきたという画像の衝撃と相まって、余計に騒ぎは大きくなってしまった。
蓋ごと持ちあがる衝撃映像は押さえられませんでしたが、こちらが噂のプラカップ茶碗蒸し。
上に透明な餡みたいなものがかかっていて、中には見逃すくらい小さい海老と銀杏が入っていた。
せめて上に三つ葉のひとつも浮いていれば見栄えもするんだけどなぁ。
魔法のない茶碗蒸し
ディズニーランドって極端な話、張りぼてなわけだ。
極端な話ね。
めちゃくちゃクオリティの高い張りぼて。
異常なほど手の込んだ張りぼてなのだ。
張りぼてを張りぼてと感じさせないために、イマジネーションやら知恵やら技術やらお金やら努力やら、そういうものが本気の本気で費やされている。
そしてそれを人は魔法と呼ぶのだ。
北斎が本格的な和食レストランである必要はない。
2000円出して2000円相当のものが出てこなくてもいい。
てんやなら690円のものが2000円したっていいのだ。
最低限おいしいと思える味と、ディズニーという付加価値=魔法がかかってさえいれば。
ただこの茶碗蒸しには魔法がない。
出来合いのものがダメだと言っているのではない。
おいしくないことがいけないわけではない(おいしい方がいいけど)。
あんなにも巨大なお城やイタリアの街並まで本気で「本物」だと思えるほど細部までこだわりぬいて作っているはずのディズニーが、パーク内に本物の蒸気機関車を走らせているディズニーが、地学的に正しい火山や歴史的に正しいルネサンス号をわざわざ作ってしまうようなディズニーが、なんで茶碗蒸しの張りぼてひとつ隠せないんだって話だ。
じゃあ茶碗蒸しの張りぼてはどう隠すの?歴史的に正しい茶碗蒸しを作らないと許されないの?という話になるかもしれない。
その答えは難しいかもしれないけど、そもそもこんな茶碗蒸しを出してイメージダウンになるくらいなら茶碗蒸しをつけなければ解決。簡単な話だ。
以前はついてなかったんだし、茶碗蒸し膳ではないのだから。
個人の好みの話になっちゃうけど、私はもともと茶碗蒸しは好きとか嫌いとかっていうより、「頼んでないのについてくる付け合わせ」にしては存在感がありすぎるものだと思ってる。
こういうところに茶碗蒸しが付いていること自体、別に嬉しくない人ではある。嫌いではないけど。
だから個人的には以前のように香の物でもついてた方が気が利いてると感じる。
もっと言えば本当は茶碗蒸しの出来栄えやプラカップにはそんなに興味はなくて、単純に値上がっているにも関わらず全体的に質が落ちていることに落胆しており、茶碗蒸しはその分かりやすいシンボルとなったにすぎない。
コストを下げたり価格を上げるのは仕方ないとしても、そこに魔法をかけられない、「これでいい」と思ってるんだなぁと思うと、そこにがっかりしてしまう。
どんなものにもいいところはある
でも、この茶碗蒸しにもちゃんといいところはあります。
お子様セットにも届かないくらいの小さなお子様を連れていると、セットの茶碗蒸しってありがたかったりしますよね。
しかもプラカップだからお子様も安心!!
親御さんもニッコリ。
それだと思う。
どんなものにもいいところもある。
スパゲッティピザにも、
きっと。
いつかは笑える過去になっていてほしい
北齋は今回の食事で
高いけどまあまあ普通においしい和食をゆっくりといただける場所
が
ちょっと残念な上に高い和食をゆっくりいただける場所
に下方修正されたのでちょっと自分の中での立ち位置がかわってしまいそう。
とりあえずしばらくは「わくわく」を抱えて北斎に足を運ぶことはできなそうなので、行かなくなりそうな気がします。
でもこれで別れを告げるわけではない。
今はフード全体が良くない方向に向かっているとは思うし、いきなり良くなるとも思ってない。
しかし、ディズニーランドというのはこの先何十年も、何なら人類がまともに繁栄している限りは存在すると思うから、またいい風が吹くことは、かならずどこかであると信じている。
いつかみんなでスパゲッティピザもジャングルうどんも、スペースうどんもカントリーいなりも、蓋にくっつく茶碗蒸しも、盛大に笑い飛ばしたい。
私からは以上です。